• Bottega di Pinocchio

Pezzettino トートバッグ

コロナ禍終わりませんね。。。


こちらでは少しづつ新規感染者が減り始めましたが、やはり変異種の存在もあり、まだまだ制限が続きそうです。


そして現在、まさかの私の住む地域がイタリア内で最も制限の厳しい地域になっています。。。

どうやら病院内でイギリス、ブラジルそれぞれの変異種でクラスターが起こってしまったらしく、この影響により私の地域は最も制限の厳しいレッドゾーンに指定されてしまいました。


第一波では全く危険ではなかった地域ですが、ここにきてまさかの最も危険な地域になってしまいました。。。制限の影響で街にはほとんど人はおらず、昼間から結構不気味ですw




あまり芳しくない状況は変わりませんが、しっかり季節は移り変わり始めました。

イタリアの春夏秋冬はとてもメリハリがあるのでわかりやすいです。

まるでイタリア人の気質みたいですねw


日本にはしっかりと四季があるなんて言われますが、わかりやすさでいえばイタリアの四季のほうがより認識しやすいと思います。桜や紅葉を日本のように楽しむことは出来ませんが、気候や季節独特の香りなんかは日本以上に感じます。


最近は三寒四温ほどではないですが、温かい日も増え、春の香りがする風が吹き始めました。今年は例年よりも少し早く温かくなりそうです。


いつも通り前置きが長くなってしまいました。。。w



早速ですが、イタリアでは多くの鞄職人がトートバッグ作りが最も難しいということをご存知ですか?


誂え鞄を専門とする熟練職人の多くがこう言います。

さてどうしてだと思いますか?


この理由がすぐにわかった方は、モノ作りに携わったことがある、もしくは相当目の肥えた方なのだと思います。


恥ずかしながら、こちらでモノ作りに携わる前の私にはまったくその理由がわかりませんでした。

全く難しいことではないのですが、その理由はモノ作りの本質だなと、今では強く感じています。


もし時間のある方は、この答えを少し自身で考えてみたのち、この先を読んで頂けたらと思います。

そうすることでほんの少しだけ、今回のブログをより楽しんで頂けるはずです。



最も職人泣かせなモノ作りは、実はシンプルなデザインの製品であったりします。

これは決して装飾が施されていないというわけではなく、すでにある一定のデザインや形が決まっているという意味です。


例えばベルトやコインケースなどの革小物はほとんど形が決まっています。

これは決して変わった形が作れないという意味ではなく、扱いやすさが考慮された形がほぼ全て出きってしまっているということです。


良いモノ作りは素材以前に、取り扱い易さ、耐久性を最も考慮して仕様書を作り始めますが、シンプルな製品の場合これらを突き詰めた場合、ほぼ確実に既存のデザインにたどり着きます。


真新しい、言い換えれば見た目にわかりやすいオリジナリティをもった製品を作ることが困難なのです。


まだ分かり辛いと思われる方は、次のように考えてみてはいかがでしょうか。

ベルトやコインケースなどの製品は、使われている素材で選びがちではないですか?

(勿論、これは本格的なアイテムを選ぶ場合を前提としています)


ロゴ、意匠などを選択の理由とする方もいるでしょう。ただこれらは既存のデザイン(形)に影響を与えるものではありません。


さらにこれを深化させていくと、次のようなこともわかります。


既存デザインに対抗するよりも、既存デザインに如何にブランドとしての付加価値(オリジナリティ)をつけていくのかを考えたほうがより合理的です。


これが素材、ロゴ、意匠だったりするのです。


こうした既存デザインを前提とした差別化は、実はその先に構造の劣化を招きます。


見た目重視のモノ作りになり、目に見えない部分の軽視へと繋がるのです。


例えば最高級だと言われているあるブランドのベルトの心材はポリウレタン素材だったりしますが、それは最たる例です。このブランドは意匠、ブランドロゴに相当なインパクトをもっていますが、実際の構造は一般的なベルトと大きくかわりません。


個人的には、なんだか計画経済時のモノ作りみたいだな、なんて思っていますw

これについてはあまりに個人的見解過ぎるので書きませんが。。。


ただ一概にこの流れを否定することが出来ないのが、難しいところです。


既存デザインがほぼ決まっているところに、より本来のモノ作りにあるべき、より品質として本質的な付加価値を求めても、目には見えないところに終始してしまうことが多く報われません。


例えば、ベルトの心材を革にしたところで、見た目にはわかりません。さらにより工夫を施し、より剛健な構造を生み出し、採用したとしても、そこにスポットライトが当たることはなかなかないでしょう。


つまりシンプルなデザインの製品を、見た目にオリジナリティーを持たせながら、構造的にも優れた製品にすることは非常に難しいことなのです。




ここまで来るのにかなり時間が掛かってしまいましたが、鞄作りにおける、このある種ユニバーサルデザインになりがちなモデルがトートバッグなんです。


このデザインが決まりがちなトートバッグに如何にして構造に配慮しつつ、オリジナリティを表現していくのか、これが鞄を手掛ける職人の腕の見せ所です。


ここで間違ってはいけないのは、オリジナリティの表現というのは、決して奇抜な形のものを作ればよいということではありません。前述のようにユニバーサルデザインというのは、そのデザイン自体に意味をもっています。


デザインはユニバーサルデザインそのものにもかかわらず、明確にそのモノの個性が表れている、そんなものを作ることが如何に難しく、そして職人泣かせであるか。。。


今回ご紹介するトートバッグは元々、Pezzettinoを手掛ける職人が私用で用いていたものでした。

しかし、ある大きな展示会でたまたまこのバッグを見かけた著名なイタリア人鞄職人の目に留まり絶賛され、その後極限られた数のみ誂えバッグとして生産されました。


とても興味深いのは、その顧客の多くがブランドデザイナーであったところです。

(名前は出せませんが、最初の顧客は世界的に有名なあるデザイナーです。)


このトートバッグの姿そして形は、まさに「トートバッグ」そのものです。

しかし、そのものの持つ個性が、それを他とは明確に異なるモノにしているはずです。


一番最初にたまたまこのトートバッグに目を留めてくれたこのある著名なイタリア人鞄職人は、この鞄を「今まで見た中で、もっとも美しいバッグである」と評価しました。


そして、その理由が正に今まで長々とここに書いてきたことそのものです。


「用途そしてその便宜上ユニバーサルデザイン化したアイテムに、基本(技術や仕様など)を軽視することなく、個性を表現すること」


それを実現することがモノ作りの上で最も難しいことです。

ロゴ、意匠そして素材などのありふれた方法ではなく、その個性をどのように表現するのか、それこそ作り手の腕の見せ所といえるかもしれません。


さて最後にいくつかこちらのトートバッグの写真を紹介して、今回の投稿を締めくくりたいと思います。


ついつい、引っ張りすぎてしまいましたね。。。w


このバッグに関しては、あえて仕様や素材などについてこちらで言及はしません。


ただ、一言だけ。。。


このトートバッグ、


「主役になれるトートバッグ」


です!