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執筆者の写真Bottega di Pinocchio

Collezione SANTI cashmere 2021AW 4

皆さん、こんにちは!


今回は一足先に冬の訪れを感じるイタリアより、SANTI cashmereのニットジャケット3モデルを紹介します。

どれもSANTIクオリティーをこれでもかと詰め込んだ逸品ですよ!!


それでは早速。。。





一型目は以前少しだけ紹介したビンテージBallantyeニットをオマージュして仕立てたモデル。


超高品質が故に一部の愛好家の間でプレミア価格で取引されるヴィンテージニットですが、こちらのクオリティーをそのサンプルを元に徹底的に研究して現代に蘇らせてみました!


前提としてこの時代のBallantyneのカシミアニット、圧倒的ですw

一部の愛好家が血眼になって探し求めるだけの理由があります。


素材、度目、縮絨、どれをとっても素晴らしく計算されたニットであり、60年近く前の代物であるにも関わらず今でも全くくたびれていないというとてつもないニットです。

この時代のニットを手掛けていたハンドフレームニット職人の技術レベルの高さには驚かされます。。。


このニットを見た時、その道60年で様々なニットブランドを手掛けてきたSANTI cashmere創業者Maria Santiにして感嘆した程の作り込みです。


また使われている素材も超一級品で、このオマージュモデルを仕立てるために同じ番手の様々なブランドの糸を探しましたが結局同じ番手で近いクオリティーのものをみつける事は出来ませんでした。


Loro Piana , Cariaggi , Biagioli , Todd & Dなど有名ブランド糸でさえもこの番手において同一クオリティーのものは見つけられず、トスカーナに無印糸でこの番手の高品質糸があるという情報を聞き付けて実際に実物を見にもいきましたがそれも結局無駄足でした。




そんな中で最もこの糸の品質に近かったのが、今回採用したLoro Piana糸です。

ただこの糸はオリジナルのものに比べて糸が細く、かりに2plyつまり二本撚りにした場合オリジナルよりも糸が太くなってしまうため全く同じゲージでの仕立ては叶いませんでした。


更にこの糸を用いてオリジナルと同様の設計でニットを仕立てた場合、細番手の場合はより繊細な糸になるため高等技術が必要になり、2plyの場合は単純計算で2倍の素材費用が掛かってしまうため大きなコスト上昇となってしまいます。


その中で我々が選択したのは、より高等技術が求められる細番手糸を採用したパターンです。

理由は単純で、2plyにした場合とてつもない金額のニットになってしまうためです 苦笑






限界まで度目を詰めた設計を実現するため何度も試行錯誤を繰り返しましたが、これが本当にながーい道のりでした。。。

実用的なレベルに落とし込むまでに何度糸切れに見舞われた事か。。。

実は一度諦めかけて2plyでプロトタイプを作成した事は、ここだけの秘密です(笑)

想像以上の金額になってしまい結局振り出しに戻りましたが。。。


そして最終的にたどり着いたのがこちら。。。





この画像、是非拡大してみて下さい!!!


通常淡い色の糸はもともと柔らかく多少の毛羽立ちがあるのですが、こちらのニットはほとんどその毛羽立ちを確認出来ないはずです。

このニット、ガッチガチに度目を詰めたので縮絨で毛羽立たせ密度を上げる必要がないのです。


この設計を可能にしたのは、正に「技術力」。

というのも、こちらのモデルを仕立てられるのはSANTI cashmereでもただ一人、創業者Maria Santiだけです。

キャリア十分な他SANTI熟練職人であっても、この設計でこのニットを仕立てることは出来ません。それはたとえ同じ機械を用いたとしても。




語弊が生まれない様、この点は改めて繰り返します。

オリジナルのニットとこちらのモデルは用いている糸番手が異なります。

我々が探した限りオリジナルと同番手で、かつ同品質のカシミア糸は見つけることは出来ませんでした。


このモデルはオリジナルよりも細い番手で同等のクオリティー糸を用いて仕立てたものです。

その上で設計・仕様はオリジナルモデルを忠実に再現し、オリジナルに勝るとも劣らない品質で仕上げました。


60年後、きっとこのニットもその作り込みに驚かれるニットになるはず。


さて残りの2モデルは共に仕様・設計は同様にデザインのみ違うため、まとめて同時に紹介していきます!




こちらの2モデルには、SANTI cashmereだけが用いる特殊な編み地を用いました。

その名も「Mossa di traverso ”モッサ ディ トラベルソ”」という、完全SANTIオリジナルの編み地です。

この波形の編み地、全く新しい編み地ながら今回用意したクラシックモデル2型との相性抜群。

コテコテのクラシックデザインはどうしても古臭くさくつまらなくなりがちですが、この編み地のアクセントが良い塩梅にそんな雰囲気を中和してくれます。

この編み地の与える印象の強さはなかなかのものですよ!


まずはショールカラーからご覧ください。



おそらくイタリアブランドニットジャケットで最も日本で人気のあるショールカラーモデルですが、こちらではこれくらい控えめなショールカラーが人気です。

若干身幅を絞ることで、クラシックデザインながらモダンなシルエットで仕立てました。


勿論、設計・仕様は保温性・耐久性を最大限まで追求した度詰・最低限の縮絨を採用しています。

自宅で気軽に洗濯も出来ますし、カシミアニットにありがちな袖リブ・裾リブの伸びに対しての耐久性は別格。

むこう数十年は間違いなく第一線で活躍してくれるニットです!



しっかりとクラシカルな雰囲気は残しながらも、絶妙な修正で身幅を絞ったことにより全体的にはスタイリッシュでモダンな印象です。


やりすぎなショールカラーよりも、これくらい控えめなショールカラーの方が変に色気が出過ぎず色々な服装に合わせやすくおすすめです。

また全体的にすっきりした印象の中でこそ、その素材感も際立ちます。



そしてこのニットジャケットを紹介する上で、何よりも皆さんに注目して頂きたいのはこの編み地!

クラシカルデザインの中に落とし込んだこの新しい編み地が、退屈になりがちな定番モデルニットに全く新しい表情を与えます。

あくまでも王道のクラシック路線を貫きながらも、古臭くなり過ぎず、そして逆に新しくなり過ぎてライトな印象になってしまうこともない絶妙なバランスがこのニットにはあります。

人目を惹くのにあくまで王道ニット、そんなニットジャケットはなかなか珍しいのではないでしょうか?


実はこんなところにもちょっとしたこだわりを入れ込んでみました。



イタリアならではの鳥足がけボタンです。

ボタンの脱着がしやすくなるボタン留め方法といわれていますが、これは正直誤差の領域であまり関係ありません。

元々はイタリア貴族の間で流行した意匠としてのボタン留めを起源としており、現在でも誂え服界隈で用いられています。

シンプルなデザインにニュアンスを与えるデザインとして用いられているというのが実際のところで、そういった意味では今も昔も同じ目的で採用されています。


こうした意匠はむやみやたらに用いるとかえってチープになってしまうのですが、今回のような単色かつ定番デザインにおいてはやはり抜群の相性です。

採用しているオリジナル貝ボタンも映えるので、素材感がより一層際立ちます。


上2つの画像は通常ボタン掛けタイプの画像になるので、気になる方は再度こちらの画像と見比べてみて下さい。

鳥足掛けを施しただけで、ほんの少し重厚な印象に変わります。



こちらでもう一型も紹介してしまいます。

デザイン違いで、設計・仕様は全て今まで紹介していたショールカラーと同じタイト設計です。



イタリアニットジャケットといえば日本ではよりきれいめなショールカラーがダントツで人気な印象ですが、イタリアではこのスタンドカラータイプも負けず劣らず人気があります。


カジュアルはカジュアルでTPOに合わせた服装を楽しむイタリアンスタイルでは、実はむしろこうしたカジュアルスタイルのほうが人気があったりします。


このスタンドカラータイプも結構シブくておすすめですよ!



以上、ニットジャケット3モデルをご紹介させて頂きましたが如何だったでしょうか?


いずれもSANTI cashmereならではを詰め込んだ逸品ばかりです。

どうしても高価になってしまうカシミアニットジャケットだからこそ、今後何十年と活躍出来るクオリティーとデザインで用意しました。


王道クラシック路線のニットながら十分人目を惹くニットであり、保温性・耐久性に関しては間違いなく別格のニットです!

10年後後悔しない至極のニットジャケットを相棒に迎えてみませんか?



Bottega di Pinocchio


















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