皆さん、こんにちは!
イタリアはここ最近雨の日が続いており、まるで日本の梅雨のような天気です(泣)
とはいえ梅雨のようなシトシト雨ではなく、雷鳴と共に土砂降りと晴れを繰り返す、まるでイタリア人の気性の様な天気です(笑)
これが終わると一気に夏が訪れるので、すでに戦々恐々としています。。。なにせ冷房がないので、未だに扇風機頼みの生活です。。。
さて本日はPezzettinoの新作サンダルをご紹介します!
およそ2年前の販売以来、多くの方にご好評頂いているあの三層サンダルにニューモデルが登場します。
こちらではまだ三層サンダルについて触れていないので、先にほんの少しこちらに関して紹介していきますね。
元々この「三層サンダル」というモデルは、サンダル×革靴の技術を用いたサンダルを作成しようという企画の中で生まれました。
多くの方がご存知ないかもしれませんが、イタリアではサンダル工房と革靴工房が別々に存在しています。
分かりやすくいえばサンダル屋と革靴屋は全く別に存在しているんですね。これは工場生産であっても同様です。
実はこれにはイタリアならではの理由があります。
イタリアにおけるサンダルの歴史は非常に長く、それ故サンダルならではの技術や知識というものが未だにしっかりと受け継がれているためです。
古代ローマのグラディエーターサンダルなんかは一時期ブームになりましたね!
またこちらでは聖人の一人であるアッシジのフランチェスコが愛用していたサンダルは、ある種アイコンのような存在になっています。
キリスト教以前に作られた建築物には、サンダル職人の神様が彫刻で施されいたりと、相当に長い歴史があるんです。
こうした背景もあって、イタリアでは革靴とサンダルがそれぞれ別の分野で生産されてきました。
これは当然技術や知識の違いを生み出しますから、こちらの優秀な革靴職人などはそれを理由にサンダル作りは行わないものも少なくありません。
私たちがそんな中で何故あえてサンダル作りを始めたのか。。。それはたまたまアンティークマーケットで見つけたかなり昔のサンダル作成に関する本でした。
こちらの本、なんと相当なページ数をサンダルに関してのみ書かれているという、かなりマニアックな内容です。
この本に書かれている内容の研究を元に産まれたもの、それが「三層サンダル」という構造です。
導入段階であまりに説明が長くなってしまったので、先に本題のPezzettinoによる新作グルカサンダルをご紹介します!
如何でしょうか!実はこのサンダル、以前の三層サンダルの構造はそのままに、更に沢山の特別な要素を取り入れています。
そもそも「三層サンダル構造」ってなんなの、と思われてしまいそうなので、まずはこの構造について触れていきますね。
簡単に言ってしまえば、このサンダルはハンドソーンウェルト製法の革靴と同様の構造を採用しています。
唯一の違いは縫われているか、いないのかです。
それって大分違うんじゃないか、と思った方もいるのではないでしょうか?
しかしサンダル製造において、この縫いを行うというのはあまり意味のないことなのです。
むしろ難点の方が多くなってしまうのです。
革靴の構造に詳しい方は分かるかもしれませんが、縫いを行う構造を採用してしまうと、どうしても底は厚くなってしまいます。
足自体をしっかりとホールドする革靴の場合、このことによるソールの返り悪さは気になりませんが、サンダルの場合は異なります。
サンダルにおける大前提は、ソールの返りが良くなければならないのです。
また更にいえば縫いを施すと、デザイン的にも破綻してしまいます。
サンダルをサンダルとして作るのであれば、その通気性を実現するデザインにする必要があります。
最近は革靴の製法を用いたサンダルを見かける機会が増えましたが、それらの靴は辛うじて穴の空いた靴という感じのデザインになっていませんか?
つまり革靴の製法そのままにサンダルを作ってしまうと、サンダルとしての良さを消し去ってしまうのです。
当初私達もこのサンダル作成企画段階において、革靴の製法を採用しようと考えました。
しかしあの本を研究していく中で相談していた、ある老齢なサンダル職人の方にことごとく反対されました。
その理由は上に書いた通りで、当初私達が作ったサンダルは「サンダルではなく、靴である」と言われてしまいました。
つまり返りの良さ、そして機能としてのデザイン、その両方を実現する構造で作らなければならなかったのです。
その後これらの点に試作を重ねる事で生み出された製法、それがこの「三層構造」です。
企業秘密なので具体的な説明はしませんが(笑)、簡単にこの構造を説明します。
この三層サンダルにはコルクが入れ込まれており、後にインソールとして機能します。
これは単なる詰め物としてではなく、明確にインソール化を狙って入れ込みました。
その為、コルクの配置やその量は部分毎に異なります。
このインソール構造によって、ソール部分に掛かる負担が劇的にケアされます。
この効果は、よくある厚い革を用いたインソール化がウリのサンダルとは全く異なります。
コルク配置と量に拘ったのは、如何にしてインソールを正しく成形させるかを目指したためです。
つまり正しい歩行を促し、それによって正しくインソールを成形させるのです。
インソールが正しく成形されなければ、そもそも意味がないのです。
更にこのインソールは一生残り続けます。つまり修理を行った場合であっても、このコルクは取り出す必要がないのです。
これがこの「三層構造」がハンドソーンウェルト製法と同じ構造だと言った理由です。
様々なサンダルがある中でも、この構造を採用しているものは、Pezzettino以外にはないと断言出来ます。
この構造は私たちが研究を重ねて生み出した製法であり、なんと言っても絶対に機械で部材を処理することが出来ない工程です。
それ故、縫いが行われた製品以上に、手間の掛かる構造です。
またコルクの配置や量などの決定は、これを手掛けるPezzettino職人の熟練の知識を元に行われています。
ストラップ配置に関しては、サンダルにおける最も理想的な比率を用いて配置しています。
この比率、実は1000年以上も昔からサンダル作りに用いられていたものです。
この配置と比率は支えの少ないサンダルにおける歩行の快適性を実現する上で、非常に大切な要素です。
デザインは異なりますが、今回の新作サンダルにおいても、この比率は同様に活かしています。
というのもこの両製品の木型は全く同じものです(笑)
ビスポーク革靴用のアンティーク木型を、この比率を元に修正したものが、
この木型です。
もしかしたらグルカサンダルの正面写真をみて、その痕跡が分かる方もいるもしれませんね!
木型を用いたサンダルでも、こうした比率などを活かした上で修正されたビスポーク用木型を用いた物は、恐らく存在しないと思います。
そもそもこの比率自体がもう忘れ去られてしまった存在です。
しかし、これによって可能となる歩行の快適性には、恐らく多くの方が驚かれるでしょう。
ホールド出来る部分が少ないサンダルにおいて、この役割は非常に大きいのだと実感されるはずです。
このグルカサンダルは踵のストラップがあるものの、この比率を採用している為、毎回付け外しする必要はありません。
そのままただ引っ掛けるだけで、しっかりとした歩行が可能になります。
最後はソール部分に関してです。
前モデル同様、ハーフラバー仕様を採用しています。
その為修理は全て、この部分とヒールの交換だけで済んでしまいます。
コルクを取り出さずオールソールも出来ますが、修理費用が高いので、ハーフラバーだけで対応出来る仕様を採用しています(笑)
ヒール部分は前回同様、整形靴仕様のものを採用です。
このヒール、そして三層構造によるインソール、特別な比率を用いたストラップ配置によって、歩き方そのものが変わるのが、このサンダル最大の特徴です。
実際に履いて歩行すれば、その粘りの効いた歩き方が実感出来るはずです。
私たちは、このサンダルのキャッチコピーを「石畳でも疲れないサンダル」と勝手に言っています(笑)
日本では、恐らく「ディズニーランドでも疲れないサンダル」が良いかもしれませんね!
因みに一昨年購入された方が、実際ディズニーランドでも疲れなかったと教えてくれました。だから、恐らくUSJも大丈夫なはずです(笑)
唯一前回までの仕様と異なるのは化粧釘の有無です。
ただし、これはいわゆる「化粧釘」ではありません(笑)
現在は単に意匠として用いられていることの多い仕様ですが、これには元々れっきとした意味があります。
履き馴染み前の歩行で負荷のかかりやすい部分に配置することで、歩行を安定させること、そして負荷部分の摩耗を抑制する事が可能です。
細かい部分ですが、こんなところにもこの職人の知識が表れています。
実はもう1つ今回のグルカサンダルには、昔の技術が使われているのですが、これは是非皆さんで探してみて下さい(笑)
今回のグルカサンダルには、ノベルティーとしてジャガードのヴィンテージコットン生地を使ってみました!
アンティーク市場でたまたま見つけたヴィンテージ生地です(笑)
最後になりますが、今年度出荷分のサンダルは全てDresswellさん取り扱いのみのexclusive lineとして数量限定でご用意しております。
全ての工程を一人の職人が手掛けており、どうしても生産量が限られてしまう為、今年度はDresswellさんのみで準備させて頂きました。
興味をもって頂けた方は、是非Dresswellさんにご連絡をお願いしますm(_ _)m
あっ、。。。!染めに関して触れるのを忘れていました(笑)
でも、恐らくこの点に関しては見ていただければ、その違いを分かっていただけると信じて、本日はここまでにしようと思います(笑)
長文失礼いたしましたm(_ _)m
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