top of page
  • 執筆者の写真Bottega di Pinocchio

レザーバッグメンテナンス

皆さん、こんにちは!


今回は前回インスタで告知した通り、レザーバッグのメンテナンス方法についてご紹介していきます。


レザーバッグのメンテナンスは使われている革の性質やそれによるエイジングの違いによって、おすすめ出来る行い方が異なります。


今回はより時間の掛かる一般的なレザーバッグのメンテナンスについてご紹介します。

とはいえ特段難しいことはありませんので、ご安心下さい。

慣れれば10分以内で終わりますw


ざっと説明してしまうとすぐに終わってしまうので、愛好家の方にも楽しんで頂けるような内容も入れつつ進んでいきます。


興味のない方は、そういった部分は飛ばして頂いて問題ありません。

むしろ読んでも何も変わりませんw


それでは早速今回用いたメンテナンスグッズから紹介します。





必要なものは革靴の際に用いたものと変わりません。


1、馬毛ブラシ

埃取り用


2、豚毛ブラシ

クリームを馴染ませたり、除去するためのブラッシング用


3、布

クリームを塗る用、または取る用


4、デリケートクリーム

後程説明


5、乳化性靴クリーム

後程説明


6、ポリッシュグローブ

余分なクリームを取りつつ、磨く用。

なくても良いがあると便利



今回紹介するレザーバッグメンテナンスは、退色を抑えつつエイジングを行うレザーバッグにおすすめの方法です。


ヌメ革(色加工されていない革)のメンテナンスには不向き(採用は出来ますが、クリームがもったいないです。。。)なので、その点はご注意下さい。

ヌメ革はまたいつかご紹介します。




まずは馬毛ブラシで革表面の埃や汚れを取り、その後に布に少量デリケートクリームを取って全体に塗っていきましょう。


この時のポイントは革靴の時と同様、栄養を入れていくのではなく、表面の汚れを濡れ布巾で取るようなイメージです。


栄養を入れようとすると塗り過ぎます。あくまでも固く絞った布巾で、テーブルの汚れを取るようなイメージで行って下さい。


塗り終わったら、クリームが馴染み、乾くまで少々待ちます。


乾いた後、豚毛ブラシでブラッシングを行い、その後布またはポリッシュグローブを用いて浮き出た汚れや余分なクリームをしっかりと取除いていきます。


実は私が最も好きな革の表情はこの段階で出来上がります。

つまりここでメンテナンスを終わりにしてしまっても問題ありません。

おそらく5分掛かりませんw


ただこの方法だけで終わってしまうと、鞄の褪色に対処出来ないので、褪色抑制のためには次の工程まで行うのがおすすめです。


ここで少しだけ脱線します。サクッと鞄のメンテナンスだけ知りたい方は、次の画像まで読み飛ばしてください。


おそらく皆さまの中には、鞄のメンテナンスに靴用クリームを使っている点に疑問を持たれる方もいらっしゃるのではないでしょうか?


結論から言えば、靴にしか用いる事が出来ないクリームなんてものはありません。

そもそも同じ素材ですから、靴に使えて鞄に使えないなんてことはないのです。


ではそもそも何をもって靴クリームなのか。。。

その点について簡単に説明していきましょう。


靴クリームは型崩れし難いよう、水分量が少なめになっています。

革は水分を吸収しやすいので、水分量を少なくすることで塗り過ぎた場合であっても問題が起きにくくなっています。


良く見ると靴クリームには油性と乳化性の2種類があるのですが、栄養補給で考えた場合以上の理由から乳化性の方がより効果的であるともいえます。


逆に油性の場合、革表面に被膜を作りやすい為より光度が上がります。つまり光沢感を強く出すことが可能です。


油分自体も革の栄養であるため、一概にどちらが良いというわけではありませんが、栄養補給の点からいえば乳化性クリームに軍配が上がります。


更に着色力に注目した場合、乳化性クリームの方がより色素が優しく入っていきます。

水分の浸透性を利用して色素が入っていく為、一気に色が入っていくのではなく、うっすらと染み込んでいくようなイメージです。


つまり乳化性クリームの方が、染色事故が起こり難いといえます。

逆に染色力が弱いともいえますが、繰り返しメンテナンスを行っていくことを考えると、その染色力の方がかえって都合が良いです。


私がレザーメンテナンスにおいておすすめするのは、断然乳化性クリームです。

よっぽど光らせたい人でもなければ、油性クリームを利用する必要はないと思います。


靴磨きの方であえて乳化性クリームの水分を抜いて使っている方もいますが、個人的な見解としては?です。


靴クリームの水分量は栄養補給の際に、その成分が最も効率良く吸収されるよう研究されて決められています。

実際、工場では「如何に水分の蒸発を抑えられるか」を考えてレシピ研究されていたりもするので、あえて水分を飛ばすというのはメンテナンスという視点から言えばナンセンスだといえます。


話題が逸れすぎてしまったので、再度戻りますw


そもそも靴クリームは靴専用クリームというものではありません。

同じ素材である革が用いられている以上、問題なく鞄に使用することが出来ます。





デリケートクリームの過程を経て、しっかりと磨くとこのような感じになります。

人工的な光沢感はなく、革本来の自然な表情を見てとることが出来ます。


良い革であれば、この時点で十分にその魅力を見てとることが出来ます。

このキメの反射がたまりませんw


素肌美人w




このバッグは手染め仕様なので、もともとこのようなムラ感があるものですが、折角ですから次の工程で色上げしていきましょう。




なんかとても汚らしい写真ですがw


乳化性クリームを布に取ったら、こんな感じでフタを皿代わりにしてのばし、最低限の量を鞄全面に塗っていきます。


ムラ染めを活かしたい場合は、全面ではなくても構いません。

今回はあえてわかりやすくなるよう全面に塗っていきます。


デリケートクリームを入れ込んでいる為、既に栄養補給は充分行われています。

その為栄養を入れていくのではなく、表面に色素を薄くすり込んでいくイメージです。


その為靴クリームの蓋でしっかりと伸ばして、最低限のクリーム量を塗り込んでいきましょう。

神経質にならず、ここは適当に行ってしまって構いません。

デリケートクリームの工程でメンテナンスの90%は終わっています。


全体的にクリームを塗り込んだら、豚毛ブラシでブラッシング(円を描きクリームを伸ばすイメージ)をし全体的にクリームを伸ばしてあげましょう。


その後乾いたら、豚毛ブラシでブラッシングし余計なクリームを取除き、その後布またはポリッシュグローブなどでしっかりと磨き上げていきます。


磨き=余分なクリームを残さないということです!← ここ重要ですw


するとこんな感じになります。



はい、やり過ぎました。。。w


光沢感が上がり過ぎてしまい、ムラ感が台無しですw


きちんとムラ感は残っているのですが、光沢のせいで色が完全に飛んでいます。


光沢感を上げる=良い磨きではないというわかりやすい例です。


とはいえ決して失敗したわけでないのでご心配なく。

時間が経つにつれて落ち着いてきますので、もともとの雰囲気に戻ります。



実はこれでもかなり少量のクリームで仕上げをしています。

ほとんど塗れていないんじゃないかと思われるような量です。


ご覧の通り、靴クリームで十分に褪色ケアが可能です。


ここで重要なのは


デリケートクリーム=栄養補給


乳化性クリーム=褪色予防及び補正


と考えることです。


次に出てくる質問は、おそらくバッグと同じカラーのクリームが無い場合はどうしたらよいのかということではないでしょうか。


結論から言ってしまえば、バッグよりも1、2トーン薄いクリームを用いれば良いだけです。

ドンピシャのカラーを使う必要性はありませんし、そんな都合の良いカラーは基本的にありませんw


手元に無色のクリームがあれば、それを配合して薄いトーンのカラーを作ることも出来ます。


そもそも靴クリームの染色力は決して強くありません。

その為あくまでも褪色予防であって、補正としてはかなり限定的な効果といえます。

つまり靴クリームのカラーをそこまで神経質に考える必要はありません。

心配するほど色は入らないので、神経質になるだけ損ですw


鞄は褪色してからではなく、褪色する前から予防に努めるのが重要です。

褪色してしまうと、染料による染色をしなくてはならない為、こうなるとプロに依頼しなくてはなりません。


数か月に1度(3ヵ月に一回くらい)で良いので、是非このメンテナンスを試してみて下さい。

鞄の褪色にとても簡単に対処できるはずです!



それではまた次回。。。





























bottom of page