予定していた投稿がとてつもなく遅れました。
色々と仕事が重なり、完全にタイミングを逸しておりました。。。
結構話題だけは目白押しな状況なので、ゆっくりと順々にご紹介していきます。
今回は早速以前から予定していたSANTI cashmere 新コレクションについてご案内していきます。
とはいえまだ日本で知名度がある工房ではないので、今回は少しSANTI cashmereについての簡単な紹介から始めていこうと思います。
SANTI cashmereを一言で表現してしまえば、世界最高のニット工房。
正直これ以上の言葉が見つかりません。
この工房と出会い、私のニットに対するイメージは根本から覆されました。
私はこれからの人生、まず間違いなくこの工房以外のニットに袖を通すことはないと断言出来る程に私を夢中にさせたニット工房です。
数年前から私のInstagramに目を通してくれている方の中にはすでにご存知の方もいるかもしれませんが、私にとって職業アパレルの原点はニットでした。
ここではこの事について詳しく触れる事はしませんが、そうした理由もあって「ニットに対するイメージ」だなんて少し大げさに思われるような表現になっています。
今でこそ革靴の人だったり、革製品の人というイメージ(笑)があるかと思いますが、実は私にとってのアパレル業界最初の一歩はニット部門からスタートしました。
意外かもしれませんが、洋服の中でもニットは超理詰めの世界だったりします。かなり職人的な世界で、そうした面においては革靴やその他革製品に近いアイテムです。
この事に関してはかなり以前Instagramに書いた文章をその内ブログに移動させて再度ご紹介しようと思いますので今回は省略しますが、要するに出来上がったアイテムの品質良し悪しがとてもわかり易いものであると同時に、以降ご紹介するハンドフレーム機によるニットにおいてはその職人の技術レベルが顕著に表れるアイテムといえます。
SANTIのニットは全てハンドフレーム機という手作業を伴う方法で生産されます。
普段お店で目にするニットのほぼ全ては自動編み機という全自動でニット生産を行う機械によって作られており、ハンドフレームニットを目にする機会はほとんどありません。
特にカシミア100%となるともはやシーラカンスのような存在といえるかもしれません。
それもそのはずで、すでにこのハンドフレーム機自体がすでに販売されておりません。そのため現在あるものをメンテナンスしながら使い続ける他なく、またそれが可能な技術者や高い技術レベルでこの機械を用いる事が出来る職人も多くはありません。
減っていくことはあっても、決して増えることはないのがハンドフレームニットです。
ハンドフレームニットの品質を語る上で最も注意しなくてはならないのは、この珍しいハンドフレーム機自体に注目するよりもこれを使いこなす職人にこそ注目すべきであるという点です。
これはあえて正直に言ってしまいますが、ハンドフレーム機でただ単に作ったニットであれば自動機で作ったニットと何も変わりません。むしろ高テクノロジー自動機で作られたもののほうが、よっぽど良いアイテムになってしまいます。
残念ながらよっぽどのモノでなければ、ハンドフレーム機生産をする意味すらほとんどないのです。
実際ネットで「ハンドフレーム ニット」で検索をして、ハンドフレームニットがより良いとされる理由を調べてみて下さい。
恐らく、品質的な点においてその利点が説明されている情報はほとんどないと思います。
生産に時間が掛かることや、風合いが異なるといった情報しか見つけられないのではないでしょうか。
つまりはそういうことなのです。
しかしそうした現状の中であっても、ハンドフレーム機でしかなし得ない品質のニットを作り続けているニット工房があります。
それが今回ご紹介するSANTI cashmereです。
いつも通りのながーい前置きはここまでにしてw、そろそろSANTI cashmereの歴史について紹介していきます。
SANTI cashmereは1960年にニッターとしてのキャリアをスタートし、その後1969年に大手メゾンブランド専属ニッターとなって以降、様々なブランドのニット生産に携わってきました。
その歴史においてSANTI cashmereと関わりのないニットブランドを見つけることのほうがよっぽど難しく、今でこそイタリアを代表するおなじみのニットブランドになったいくつかのブランドの黎明期においてとても大きな影響を与えた工房でした。
こうしたメゾン専属ニッターを背景として現在ではある程度日本でも知名度を得たニットブランドがいくつかありますが、こうしたところとSANTI cashmereが大きく異なるのは専属ニッターとしてのキャリア形成の中で自動機生産を行う工場化をしなかったという事に尽きるといえます。
SANTI cashmereはギルド的な生産方法によりメゾン専属ニッターとしてのキャリアを形成していき、その根本は現在であっても何一つ変わりません。
ギルド的な生産方法というのは、その生産時期に合わせてSANTI cashmereが選んだ各地に散らばる個人経営の職人たちを集めて生産をする方法で、あくまでもハンドフレーム機による生産にこだわり続けました。
当時多くのこうした専属ニッターが自動機生産に切り替わっていく中でも、ハンドフレーム機でなければ出来ないニットに対する需要は少なくありませんでした。こうした背景も手伝ってSANTIのハンドフレーム生産ニットの伝統が作り上げられていったのです。
つまりSANTI cashmereの根本には常に「ハンドフレーム機でなければならないニット作り」があるのです。
先にハンドフレームニットの自動機ニットと比べた際の明確な利点をネット上で見つけるのは難しいと言いましたが、SANTIのニットには常にそれがあります。
だからこそ私にとっての世界一のニットはSANTI cashmereなのです。
ヴィンテージのBalantyneのニットが高品質であるが故に一部のニット愛好家内で高値で取引をされていますが、正にこれが良い例です。
昨年お世話になっているDresswellさんのオーナーからこの話を伺い、更にそのヴィンテージニットを一時的にサンプルとして貸して頂きました。
このニットが現在のものと最も異なる点は、その仕様と設計であって、それは自動機ではなくハンドフレーム機生産ならではの技術で作られている事によるものでした。
つまり決してハンドフレームニットは作るのに時間を要し、特徴的な風合いだけが売りのニットではないのです。
それだけを謳っているニットはそれまでのものなのでしょうが、本当に突き詰めて作られたもののその違いは明確なのです
(画像はこのサンプルを参考に同様の仕様・設計で作成した新作モデル)
それでは一体何がそれ程異なるのか。。。
次回は今回の新作を紹介しつつ、その点についてじっくりとご紹介していきます。
もしもこの機会にニットに少しでも興味をもってくれた方がいましたら、以前SANTIについてブログで紹介した投稿がありますのでそちらにも目を通して頂けたら嬉しいです。
そちらの投稿からもSANTIの特殊性を知って頂けるはずです。
リンクはこちらです。
またインスタグラムでは既にご案内させて頂いておりますが、現在 千葉県市川市のRietoBrio さんで新作ニットジャケットに先駆けて、新作プルオーバー販売イベントを開催しております。
今年度は RietoBrio さん 、 福岡県のDresswell さん に多大なご協力を頂き、カシミア100%ハンドフレームニットとしては前代未聞のプライスでベーシックプルオバーモデルをご提案させて頂けることになりました。
この機会に出来る限り多くの方に一度SANTI cashmere品質を知って頂ければと思います。
今までにイタリアブランドニットを着たことがある方は間違いなくその品質の違いに驚愕するはずです。
ご興味ある方は是非お店に立ち寄ってみて下さい。
Bottega di Pinocchio
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